年齢給とは?仕組みとメリット・デメリットを解説

年齢給とは?仕組みとメリット・デメリットを解説
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うちの年齢給、正直このままでいいのか気になっています…
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実は年齢給を廃止・見直しする企業が増えているんです

賃金制度を見直すタイミングで、「年齢給」という項目について、このまま残すべきか、それとも廃止すべきか判断に迷う人事担当者は少なくありません。年功序列を前提に設計された制度であるだけに、成果主義や職務給への移行を検討する中で、扱いに悩む企業も増えています。既存の社員の生活への影響も大きいテーマであるため、感覚だけで判断せず、制度の成り立ちや他の賃金項目との違いを踏まえて検討することが欠かせません。この記事では、年齢給の基本的な仕組みから、他の賃金制度との違い、メリット・デメリット、見直す際のポイントまでをわかりやすく解説していきます。

目次

年齢給とは

年齢給とは、従業員の年齢や勤続年数に応じて自動的に金額が決まる、基本給の構成要素の一つです。多くの場合、毎年決まった時期に、年齢や勤続年数の上昇にあわせて一定額が加算される仕組みになっています。

年齢給は、個人の成果や能力とは切り離された「属人給」の一種に分類されます。同期入社であれば、部署や職務内容が違っても、年齢給の部分だけを見れば同じ金額になる、というのが基本的な考え方です。生活費が年齢とともに増加していく(結婚、子育て、住宅取得等)ことを前提に、生活の安定を支える賃金として位置づけられてきた歴史があります。

年齢給が広く普及した背景には、高度経済成長期に定着した日本型雇用システムがあります。終身雇用・年功序列を前提に、長く勤めるほど増えていく従業員の生活費を、会社が賃金面で支えるという発想のもとで整備されてきました。この仕組みが根強く残っている企業ほど、年齢給の比重が大きく、賃金制度全体に占める割合も高くなる傾向があります。

年功給との違い

年齢給と混同されやすい言葉に「年功給」があります。年功給は、年齢だけでなく勤続年数や経験年数も加味した、より広い概念として使われることが一般的です。年齢給は、その年功給を構成する要素の一つ(年齢のみに連動する部分)と捉えると整理しやすくなります。実務上は、年齢給と勤続給(勤続年数に応じて決まる部分)をあわせて「年功給」と呼んでいる企業も少なくありません。この呼び方の違いは法律で定められたものではなく、企業ごとに定義や運用が異なるため、社内で「年齢給」「年功給」という言葉を使う際は、指している範囲を明確にしておくことがトラブル防止につながります。

年齢給と他の賃金制度との違い

基本給を構成する要素には、年齢給のほかにも「職能給」「職務給」があります。それぞれ何によって金額が決まるのかを整理すると、次のようになります。

賃金の種類決定要素特徴
年齢給年齢・勤続年数年齢とともに自動的に上がる
職能給職務遂行能力保有する能力・スキルの高さに応じて決まる
職務給職務内容・役割担当する仕事の難易度・責任の重さに応じて決まる

年齢給は「人」に紐づく賃金であるのに対し、職務給は「仕事」に紐づく賃金である、という対比で理解すると分かりやすくなります。近年、ジョブ型雇用への関心が高まる中で、年齢給の比重を下げ、職務給の比重を高める企業が増えている背景には、こうした賃金の性質の違いがあります。

実務上は、これら3つの給与項目を単独で採用している企業は少なく、基本給の中に年齢給・職能給・職務給を組み合わせて設計しているケースが一般的です。たとえば「基本給のうち6割を職務給、4割を年齢給とする」といった形で、それぞれの比重を調整しながら制度を設計します。

年齢給のメリット

年齢給には、次のようなメリットがあります。

  • 生活費の増加にあわせて賃金が安定的に上がるため、従業員の生活設計が立てやすい
  • 評価基準が明確なため、賃金決定における不公平感が生まれにくい
  • 長期勤続を前提とした人材育成・キャリア形成と相性がよい

たとえば、住宅ローンを組んだ従業員にとって、年齢給によって毎年一定額の昇給が見込めることは、長期的な返済計画を立てるうえで大きな安心材料になります。こうした生活の安定は、離職防止や長期勤続の動機づけにもつながってきました。

また、年齢給は評価者の主観が入り込む余地が少ないため、評価スキルにばらつきがある管理職のもとでも、賃金決定における不公平感が生まれにくいという側面もあります。評価制度が十分に整備されていない企業にとっては、公平性を保ちやすい仕組みとして機能してきた面もあります。

年齢給のデメリット

一方で、成果主義的な人事制度への関心が高まる近年は、年齢給のデメリットが指摘される場面も増えています。

成果や能力にかかわらず年齢に応じて賃金が上がる仕組みのため、若手社員から見ると「年齢が上がるだけで給与が上がる先輩」に不公平感を抱きやすく、モチベーション低下の一因になることがあります。実際に、成果を出している若手社員から「なぜ自分より成果を出していない年上の社員の方が給与が高いのか」といった不満が人事部に寄せられる、というケースも珍しくありません。

さらに、年齢給には、いわゆる「働かないおじさん」問題との関連も指摘されます。成果にかかわらず年齢とともに賃金が上がる仕組みは、パフォーマンスが下がった社員の賃金がそれに連動して下がらない状態を生みやすく、組織全体の生産性に対する疑問の声につながることがあります。

また、年齢給は従業員の年齢構成が上がるほど、人件費が自動的に増加していく仕組みでもあります。少子高齢化により従業員の平均年齢が上昇しやすい現在、年齢給の比重が大きいままだと、企業の人件費負担が想定以上に膨らみ、若手採用や賃上げの原資を圧迫する要因にもなり得ます。

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年齢給を見直す際のポイント

年齢給を見直す場合、いきなり全廃するのではなく、段階的に比重を下げていくアプローチが現実的です。

  1. 現行の賃金制度における年齢給の比重を可視化する
  2. 職能給・職務給への移行によって、既存社員の賃金にどのような影響が出るかを試算する
  3. 経過措置(激変緩和措置)を設けながら、段階的に制度を移行する

とくに1のステップを省略し、いきなり新制度へ切り替えてしまうと、年齢給への依存度が高かった社員の賃金が大きく下がり、労使間のトラブルに発展するケースもあります。既存の賃金体系を丁寧に可視化したうえで、影響を見極めながら進めることが重要です。

経過措置の設計では、たとえば「見直し後の新制度で本来の賃金が下がる社員については、一定期間(3〜5年程度)は現行の賃金水準を保証し、その後段階的に新制度の水準へ移行する」といった調整弁を設けるケースが一般的です。急激な減額は従業員の納得感を大きく損なうため、移行期間中のフォローアップも欠かせません。

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まとめ

この記事では、年齢給の仕組みや、年功給・職能給・職務給との違い、メリット・デメリット、見直す際のポイントについて解説しました。年齢給は従業員の生活の安定に寄与してきた一方で、成果主義的な人事制度への移行が進む中、そのままの形で維持することが難しくなってきている賃金項目でもあります。「自社の年齢給、このままでいいのだろうか」と感じた方は、まず現行制度における年齢給の比重を可視化するところから始めてみましょう。全体像が見えるだけでも、次に何を検討すべきかが具体的になってきます。

ただし、年齢給の見直しは、単体の制度変更では終わりません。等級制度や評価制度全体との整合性を取りながら、既存社員への影響を試算し、経過措置の設計や労使間での丁寧な合意形成まで進める必要があり、自社の人事担当者だけで最初から最後まで設計しきるのは容易ではありません。社内に前例がない場合、どこまでを自社で判断し、どこから専門家の知見を借りるべきかの見極め自体が難しいというケースもよくあります。

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