介護休暇と介護休業の違いとは?取得条件と給付金の仕組みを解説

介護休暇と介護休業の違いとは?取得条件と給付金の仕組みを解説

介護休暇と介護休業は、目的・取得日数・給付金の有無など複数の点で異なる制度です。
「どちらを使えばいいのかわからない」「会社としてどう対応すべきか」と悩む方は少なくありません。

本記事では、介護休暇と介護休業の違い、取得条件・給付金の仕組み・企業側の対応ポイントについて詳しく解説します。

⇒ 制度設計・制度の見直しのお悩みはビズアップの人事コンサルへ

目次

介護休暇と介護休業の違いとは何か

介護休暇と介護休業は名称が似ているものの、取得日数や申請期限、給付金の有無など、実際の使い方は大きく異なります。

介護休暇は通院付き添いなど短期対応に向いており、介護休業は介護体制の構築や施設探しなど、まとまった時間が必要な場面で活用する制度です。

混同すると必要なタイミングで適切に使えなくなるため、事前に以下の表で違いを整理しておきましょう。

比較項目介護休暇介護休業
目的通院付き添い・介護手続きなど短期対応介護体制づくり・施設探しなどの中長期対応
取得日数対象家族1人につき年5日(2人以上で年10日)対象家族1人につき通算93日(3回まで分割可)
取得単位1日または時間単位1日単位
申請期限当日でも申請可取得希望日の2週間前まで
給与原則として無給(会社規定による)原則として無給
給付金なし介護休業給付金あり(賃金の67%相当)

短期対応なら介護休暇、まとまった準備期間が必要なら介護休業と覚えておくと、いざという場面で迷わず動けます。

介護休暇とは?通院付き添いや介護手続きに使える休暇制度

介護休暇は、要介護状態にある家族の介護や世話のために、年次有給休暇とは別に取得できる休暇制度です。通院付き添いや介護サービスの手続き、ケアマネジャーとの打合せなど、短時間の対応が必要な場面でも活用できます。

急な介護対応で仕事を休まなければならない場面に備え、介護休暇の仕組みを事前に把握しておきましょう。

介護休暇を取得できる対象者

介護休暇を取得できるのは、要介護状態にある対象家族を介護する男女の労働者です。正社員だけでなく、条件を満たすパートやアルバイトも対象になります。ただし、日々雇用される労働者は対象外です。

また、労使協定が締結されている場合は、以下に該当する労働者は介護休暇の取得対象から除外される可能性があります。

  • 勤続6ヶ月未満の労働者 (2025年4月1日から廃止)
  • 週の所定労働日数が2日以下の労働者

申請を受け付ける際は、就業規則や労使協定の内容をもとに対象者の範囲を確認したうえで、適切に対応しましょう。雇用形態に関わらず介護と仕事を両立できる制度である点は、介護休暇の大きな特徴といえるでしょう。

なお、労使協定が締結されている場合、1週間の所定労働日数が2日以下の労働者については、介護休暇の取得対象から除外されることがあります。以前は継続雇用6か月未満の労働者も除外対象とできましたが、2025年4月1日以降、この要件は廃止されています。

参照:介護休暇 | 厚生労働省

介護休暇の対象になる家族

引用元:介護休暇|厚生労働省

介護休暇の対象になる家族の範囲は、育児・介護休業法によって定められています。対象家族に該当するかどうかは、申請時に人事担当者が確認すべき重要なポイントです。

対象になる家族は、以下のとおりです。

  • 配偶者(事実婚を含む)
  • 父母(養父母を含む)
  • 子(養子を含む)
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹
  • 配偶者の父母

一方、同居人や上記以外の親族は対象外となります。

事実婚の配偶者や養子・養父母が含まれる点は見落としやすいため、申請を受け付ける際は関係性を確認しましょう。対象家族の範囲を正確に把握しておくことが、適切な制度運用につながります。

介護休暇の日数は年5日または年10日

介護休暇の取得日数は、対象家族の人数によって異なります。

1日単位だけでなく時間単位でも取得できるため、通院付き添いや短時間の手続きにも使いやすい制度です。

対象家族の人数取得できる日数取得単位
1人年5日まで1日単位・時間単位
2人以上年10日まで1日単位・時間単位

なお、事業主が特に定めない場合は、4月1日から翌年3月31日までが1年間となります。

時間単位での取得が可能な点は介護休暇の大きな特徴で、半日だけ通院に付き添いたい場面や、ケアマネジャーとの短時間の打合せにも対応できます。

介護休業とは?介護体制を整えるために使える休業制度

介護休業は、家族を直接介護し続けるためだけの制度ではありません。介護サービスの手配や施設探し、在宅介護の分担調整など、仕事と介護を両立できる体制を整えることを目的とした休業制度です。

対象家族1人につき通算93日まで、3回に分割して取得できるため、介護離職を防ぐ制度として多くの企業で整備が進んでいます。

介護休業を取得できる対象者

介護休業を取得できるのは、要介護状態にある対象家族を介護する男女の労働者です。

正社員はもちろん、パートやアルバイトなど有期雇用の労働者も対象となります。ただし、取得予定日から起算して93日を経過する日から6ヶ月以内に契約が終了する見込みがある場合は、対象外です。

一方、労使協定が締結されている場合は、以下に該当する労働者は対象外になる可能性があります。

  • 継続雇用1年未満の労働者
  • 申出の日から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

介護休業の取得条件は介護休暇より厳しい面があるため、申請を受け付ける際は雇用形態と契約内容を確認しましょう。

参照:介護休業 | 厚生労働省

介護休業の対象になる家族

引用元:介護休業|厚生労働省

介護休業の対象家族の範囲は、育児・介護休業法で明確に定められています。申請時には家族関係と要介護状態の両方を確認する必要があるため、人事担当者は事前に把握しておきましょう。

対象になる家族は、以下のとおりです。

  • 配偶者(事実婚を含む)
  • 父母(養父母を含む)
  • 子(養子を含む)
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹
  • 配偶者の父母

対象家族の範囲は介護休暇と同じですが、同居人や上記以外の親族は対象外となります。事実婚の配偶者や養子・養父母が含まれる点も注目です。

家族関係を証明する書類の提出を求める企業も多いため、社内の申請フローに組み込んでおくと安心です。

介護休業は通算93日まで取得できる

介護休業は、対象家族1人につき通算93日まで取得できます。

3回まで分割して取得できるため、施設探しや在宅介護の準備、家族間の分担調整など、必要な時期に合わせて柔軟に使える点が大きな特徴です。

項目内容
取得できる日数対象家族1人につき通算93日まで
分割取得回数3回まで

年5日または年10日が上限の介護休暇と比べると、介護休業はまとまった日数を確保できる違いがあります。一度にすべて取得する必要はなく、介護の状況に応じて分けて使えるため、仕事と介護の両立を長期的に支える制度です。

介護休業中に給付金を受け取れる場合がある

介護休業中は会社からの給与が出ないケースが多いですが、条件を満たせば雇用保険から介護休業給付金を受け取れます。

介護休暇との大きな違いのひとつが、給付金の有無です。

項目内容
支給対象雇用保険の被保険者で介護休業を取得した労働者
受給要件休業開始前2年間に被保険者期間が12ヶ月以上あること
支給額休業開始時賃金日額×支給日数×67%
支給上限同じ対象家族について、93日を限度に3回まで支給
申請先ハローワーク(事業主を通して申請)

給付金は自動的に支給されるものではなく、事業主を通した申請手続きが必要です。給与との違いや申請フローを社内で周知しておくと、従業員が安心して介護休業を取得しやすくなるでしょう。

介護休暇と介護休業の使い分けを従業員に伝えるポイント

介護休暇と介護休業は目的が異なるため、従業員が状況に応じて使い分けられるよう、企業側が正しく案内することが求められます。

短期対応か、まとまった準備期間が必要かによって、適切な制度は変わってきます。

通院付き添いや役所手続きには介護休暇を使う

数時間から1日程度で済む介護対応には、介護休暇が適しています。年次有給休暇とは別に取得でき、時間単位にも対応しているため、急な場面でも仕事への影響を抑えられます。

介護休暇を使いやすい場面は、以下のとおりです。

  • 病院への通院付き添い
  • 要介護認定の申請・更新手続き
  • 介護サービス利用の相談
  • ケアマネジャーとの打合せ
  • 施設や役所への短時間の訪問

介護休業は93日という上限があるため、短期対応は介護休暇で対応するよう従業員に案内しておきましょう。

介護体制の準備や施設探しには介護休業を使う

数時間では終わらない介護の準備や体制づくりには、介護休業が適しています。介護離職を選ぶ前に、93日の休業期間で両立できる環境を整えられることを、企業側から積極的に伝えましょう。

介護休業を使いやすい場面は、以下のとおりです。

  • 在宅介護の体制を整えたい
  • 介護サービスの利用先を比較・検討したい
  • 介護施設やショートステイ先を探したい
  • 家族間で介護分担を話し合いたい
  • 復職後の働き方を会社と相談したい
  • 介護費用や介護休業給付金を確認したい

退職という選択をする前に、まず介護休業の活用を検討できるよう、企業側から働きかけることが介護離職防止につながります。

介護休暇と介護休業は併用できる

介護休暇と介護休業は、目的に応じて併用できます。最初は介護休暇で通院付き添いや手続きに対応し、介護体制を整える段階で介護休業を取得する流れは、現実的な使い方のひとつです。ただし、両制度は別制度として扱う必要があります。

日数・申請方法・給付金の有無はそれぞれ異なるため、混同したまま運用すると申請ミスやトラブルにつながりかねません。介護休暇は当日申請が可能ですが、介護休業は取得希望日の2週間前までに申請が必要な点も、併用時に従業員へ伝えておきたい違いです。

介護休暇と介護休業の特徴を正しく理解したうえで、状況に合わせた使い分けを案内しましょう。

企業が押さえるべき介護休暇・介護休業の対応ポイント

介護休暇・介護休業の制度を正しく運用するためには、企業側の対応が欠かせません。法律に基づいた適切な対応と、従業員への周知が求められます。

介護を理由にした不利益な取り扱いはできない

介護休暇・介護休業を申し出た従業員への不利益な取り扱いは、法律で禁止されています。人員不足や業務調整の負担を理由に、取得を妨げる対応は許されません。

不利益な取り扱いに当たる例は、以下のとおりです。

  • 介護休業の申出を理由に解雇する
  • 契約社員の契約更新を拒否する
  • 正社員から非正規社員への変更を強要する
  • 降格・減給・賞与の不利益算定を行う
  • 不利益な配置転換を行う
  • 申出後に就業環境を悪化させる

違反した場合は、行政指導や公表の対象になる可能性があります。申出があった際は、制度に基づいた対応を徹底しましょう。

従業員に制度内容と申請方法を正しく伝える

介護に直面した従業員は、休める日数・給与・給付金・申請先がわからず、相談をためらいやすい状況に置かれています。企業側が制度内容を正しく伝えることで、従業員が安心して申し出やすい環境が整います。

具体的には、介護休暇と介護休業の違い、申出先、必要書類、申請期限を明確に案内することです。2025年4月1日以降、企業には、介護に直面した旨を申し出た労働者に対する個別周知・意向確認や、介護休業・介護両立支援制度等を利用しやすい雇用環境の整備が義務付けられています。介護が必要な状況にある従業員への個別周知と意向確認まで対応を整えておくと、介護離職を防ぐことにつながります。

制度を用意するだけでなく、従業員が実際に使える状態にすることが企業の義務といえます。

社会保険料・住民税の扱いも説明しておく

介護休業中に給与が出ない場合でも、社会保険料や住民税の負担はなくなりません。育児休業と異なり、介護休業中は社会保険料の免除制度が適用されないため、休業中も保険料の支払いが続く点に注意が必要です。

社会保険料は会社と本人の折半負担が継続するため、休業中の支払い方法を事前に取り決めておきましょう。住民税も給与からの天引きができなくなるケースがあるため、普通徴収への切り替えや一括徴収の対応を確認しておくことをおすすめします。

介護休暇と介護休業の違いを理解して適切に活用しよう

介護休暇は短期対応、介護休業はまとまった準備期間に使う制度です。取得日数・申請期限・給付金の有無など複数の点で違いがあるため、状況に応じて使い分けることが大切です。

併用も可能なため、介護休暇で日々の対応をこなしながら、介護休業で体制を整える流れが現実的な選択肢といえます。企業側は法律に基づいた運用と、従業員への丁寧な周知・意向確認まで対応を整えておきましょう。

人事・労務のお悩みは、ビズアップの人事コンサルにご相談ください。介護休暇・介護休業に関する制度整備はもちろん、就業規則の見直し、社内フローの整備、従業員への周知方法まで、専門家が実務に合わせてサポートします。


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の状況については、官公庁の最新情報を参照のうえ、専門家にご相談ください。

お役立ち資料イメージ 経営者・人事部門のための

人事関連
お役立ち資料

資料内容

    制度設計を“経営インフラ”として機能させる仕組みと、組織力向上・人件費最適化を同時に実現するプロフェッショナルのアプローチを詳しくご紹介。「人事制度構築システム」「構築・運用コンサルティング」にご関心のある方は、ぜひご覧ください。