有給教育訓練休暇とは?制度の仕組みと導入ポイントを解説

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有給教育訓練休暇とは、従業員が賃金を受け取りながら教育訓練を受けられる休暇制度です。
「就業規則への書き方がわからない」「助成金は何から準備すればいいか」と悩む人事・労務担当者は多いでしょう。

本記事では、有給教育訓練休暇の仕組みから導入メリット、制度設計のポイント、活用できる助成金について詳しく解説します。

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目次

「有給教育訓練休暇」とは何か

有給教育訓練休暇とは、従業員が資格取得やスキルアップを目的とした教育訓練を受ける際に、賃金を支払いながら取得できる休暇制度です。企業が就業規則に定めることで運用でき、従業員の学び直しや能力開発を会社側から積極的に後押しする仕組みといえます。

とはいえ、「制度は知っているけれど、具体的にどう整備すればいいかわからない」という担当者も多いでしょう。近年、リスキリングへの関心が高まるなか、有給教育訓練休暇の制度整備に乗り出す企業が増えています。

従業員の学びを支援する休暇制度

有給教育訓練休暇は、従業員が業務を離れて学びに集中できる環境を、企業が制度として整えるものです。

対象となる学びの内容は幅広く、さまざまな能力開発の場面で活用できます。

主な対象は、以下の通りです。

  • 国家資格や民間資格の取得を目指す学習
  • 外部の専門講座やセミナーへの参加
  • デジタルスキルを身につけるリスキリングプログラム
  • 語学習得を目的とした通学・通信教育

「学びたい気持ちはあっても、休むと収入が減る」と二の足を踏む従業員は、実際のところ相当数いるでしょう。有給教育訓練休暇なら賃金を受け取りながら能力開発に専念でき、従業員のキャリア形成を支援したい企業にとって実効性の高い選択肢です。

年次有給休暇や社内研修との違い

有給教育訓練休暇は、年次有給休暇や社内研修と混同されやすいですが、目的や取り扱いが異なります。

<年次有給休暇との比較>

項目有給教育訓練休暇年次有給休暇
目的能力開発・学び直し休養・私用
取得理由教育訓練に限定自由
主導従業員が申請従業員が申請
就業規則企業が任意で設定法律で義務づけ

<社内研修との比較>

項目有給教育訓練休暇社内研修
目的能力開発・学び直し企業主導のスキル習得
取得理由従業員が選択企業が決定
主導従業員が申請業務命令として参加
就業規則企業が任意で設定規定不要

年次有給休暇は取得理由を問わないですが、有給教育訓練休暇は教育訓練目的に限定されます。年次有給休暇は社内研修と異なり、従業員が自ら学ぶ内容を選べる点が特徴です。

なぜ今、有給教育訓練休暇制度が注目されているのか

産業構造の変化が加速するなか、従業員の「学び直し」を制度として支える企業の姿勢が問われています。有給教育訓練休暇制度が注目を集める背景には、大きく2つの理由があります。

リスキリングや資格取得支援の重要性が高まっている

DXの進展や働き方の多様化により、従業員に求められるスキルは急速に変化しています。「優秀な人材を外部から採用し続けるのも限界がある」と感じる企業も多いでしょう。

有給教育訓練休暇制度を整備して学びを支援すべき理由は、以下の点に集約されます。

  • AIやデジタルツールの普及により、既存スキルの陳腐化が加速している
  • 業務変化に対応できる人材を、外部採用だけで賄うことが難しくなっている
  • 資格取得を支援することで、従業員の専門性と業務品質を同時に高められる

有給教育訓練休暇制度の導入は、変化への対応力を社内で育てる手段として有効です。

人材育成を個人任せにしない企業姿勢が求められている

「頑張りたい気持ちはあるけど、業務後に勉強する余裕がない」そう感じている従業員は、思いのほか多いものです。

スキルアップを本人任せにするだけでは、組織全体の底上げにはつながりません。そこで、有給教育訓練休暇制度を整備することで、企業は「学ぶ時間」を制度として保障できます。

学びやすい環境を会社側が用意する姿勢が、人材育成の実効性を高め、優秀な人材の確保・定着にもつながるでしょう。

有給教育訓練休暇の導入は義務なのか

「有給教育訓練休暇って、導入しないといけないのか」制度を検討し始めた担当者なら、まず気になるのがこの点ではないでしょうか。

法的な位置づけと、義務ではない場合でも整備が求められる理由について解説します。

法律上、すべての企業に導入義務があるわけではない

有給教育訓練休暇は、すべての企業に導入が義務づけられた制度ではありません。年次有給休暇のように労働基準法で付与が定められているものとは異なり、企業が任意で設ける休暇制度です。

「義務じゃないなら、後回しでもいいか」と思いたくなる気持ちもわかります。しかし、制度がなければ従業員が学びに充てる時間を確保しにくい状況が続くことも否めません。

導入する場合は、就業規則や社内規程への明記が必要です。

義務ではなくても制度整備が求められる理由

義務ではないにもかかわらず、有給教育訓練休暇制度を整備する企業は増えています。

厚生労働省の導入事例集を見ると、その活用の幅の広さがわかります。

  • ホテルスタッフが訪日外国人対応のために語学留学へ
  • 准看護師がキャリアアップを目的に看護師資格の取得を目指す
  • 介護職員が業務のデジタル化に備えてIT知識を習得する

制度の有無が、従業員の学びの機会に直結している実態がうかがえます。有給教育訓練休暇制度の整備は、従業員の定着率向上や採用競争力の強化にもつながるでしょう。

参考:2025年度教育訓練に活用できる休暇・休職制度導入事例集 | 厚生労働省

有給教育訓練休暇を導入する3つのメリット

「導入するメリットは本当にあるのか」と半信半疑な担当者もいるでしょう。

有給教育訓練休暇制度は、従業員と企業の双方にとって具体的なメリットをもたらします。ここでは、導入を検討する際に知っておきたい3つのポイントを紹介します。

メリット① 従業員のリスキリングや資格取得を支援できる

「資格を取りたいけど、休んだら収入が減る」と感じて、学びを後回しにしている従業員は少なくありません。有給教育訓練休暇制度を設けることで、従業員が収入を維持しながら学びに集中できる環境を整えられます。

賃金が支払われるため経済的な不安なく教育訓練に専念でき、業務直結のスキルや資格を持つ人材が増えれば現場の即戦力強化にもつながります。

メリット② 人材定着や従業員満足度の向上につながる

「この会社は自分の成長を応援してくれる」と従業員が感じられる職場は、離職率が下がりやすいものです。有給教育訓練休暇制度の整備は、まさにその環境づくりに直結します。

成長の機会が用意されている職場は、従業員にとって長く働き続ける理由になります。有給教育訓練休暇制度の有無は採用候補者の判断材料にもなりつつあり、優秀な人材確保の面でも見逃せない制度といえるでしょう。

メリット③ 企業の生産性向上や競争力強化につながる

有給教育訓練休暇制度を活用すると、従業員ひとりのスキルアップが組織全体の生産性を底上げする好循環が生まれます。最新のITツールや専門知識を習得した人材が増えれば、業務プロセスの改善や新事業への対応力も高まるでしょう。

社内人材を継続的に育てられる企業は競合他社より優位に立ちやすく、有給教育訓練休暇制度への投資は中長期的な競争力強化につながります。

有給教育訓練休暇の導入前に決めるべきこと

「制度を導入したはいいけれど、運用でトラブルが起きた」とならないためにも、事前の準備が肝心です。

有給教育訓練休暇制度を実際に運用するには、決めておくべき項目が複数あります。導入後のトラブルを防ぐためにも、4つのポイントを順に整理しておきましょう。

対象者・対象となる教育訓練を明確にする

「誰でも取れるのか」「この講座は対象になるのか」と申請のたびに疑問が生まれるようでは、運用上のトラブルにつながりかねません。

設計段階で決めておくべき項目は、以下の通りです。

  • 対象者:正社員のみか、契約社員やパートも含めるか
  • 対象訓練:資格取得、外部講座、業務関連研修など
  • 除外内容:業務との関連性が薄い趣味・教養目的の講座

対象範囲を就業規則や社内規程に明記しておくことで、制度の公平な運用が実現します。

取得日数・申請期限・承認フローを決める

「何日まで取れるのか」「いつまでに申請すればいいのか」といった疑問が現場で飛び交うようでは、制度として機能しているとはいえません。

ルールが曖昧なままでは申請のたびに判断が変わり、担当者と従業員の双方に余計な負担がかかります。

事前に決めておくべき項目は、以下の通りです。

  • 取得可能日数:年間の上限日数や1回あたりの取得単位
  • 申請期限:休暇取得の何日前までに申請するか
  • 承認フロー:直属の上司のみか、人事部門の確認も必要か

運用ルールを整備しておくことで、制度を円滑に機能させられます。

休暇中の賃金や勤怠管理の扱いを整理する

「有給扱いにするのはわかったけど、給与計算はどうすればいいのか」と実務担当者が最初に戸惑うのが、賃金と勤怠の処理方法です。通常勤務日と同じ賃金を支給するのか、別途算定基準を設けるのかによって給与計算の方法が変わります。

勤怠システムへの登録区分も専用の区分を設けておくと管理しやすく、修了証や受講票の提出を求めるルールも事前に決めておくと安心です。

就業規則や社内規程に記載する

口頭で「うちはこういう運用にします」と伝えるだけでは、後々「聞いていない」「そんな決まりはなかった」といったトラブルに発展しかねません。

有給教育訓練休暇制度を運用するには、就業規則や社内規程への記載が必要です。

盛り込むべき主な項目は、以下の通りです。

  • 対象者:制度を利用できる雇用形態や勤続年数の条件
  • 取得条件:対象となる教育訓練の範囲と除外される学習内容
  • 申請方法:申請期限・必要書類・承認フローの手順
  • 賃金の扱い:休暇中の給与計算方法と支給基準

就業規則への記載は、従業員が安心して有給教育訓練休暇を取得できる環境を整える上でも重要です。

有給教育訓練休暇で活用できる助成金・給付金

有給教育訓練休暇制度に関連する公的支援には、企業向けと従業員向けの2種類があります。企業向けの「人材開発支援助成金」は、有給教育訓練休暇制度を導入した事業主に対して助成を行う制度です。

従業員向けの「教育訓練休暇給付金」は、30日以上連続した無給の教育訓練休暇を取得した場合に賃金の一定割合が支給される制度です。両制度を組み合わせることで、費用負担を抑えながら有給教育訓練休暇制度を整備・運用できます。

参考:教育訓練休暇給付金 | 厚生労働省

まとめ

有給教育訓練休暇制度は、従業員の学び直しを企業が制度として支える仕組みです。導入は義務ではありませんが、人材育成や定着率向上、助成金の活用といった点で、整備する価値は十分にあります。

「どこから手をつければいいかわからない」という場合も、専門家のサポートを得ながら進めれば安心です。有給教育訓練休暇制度の導入を含む人事・労務のお悩みは、ビズアップの人事コンサルへお気軽にご相談ください。

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