【人事担当者必見】社会保険と国民健康保険の違いを徹底解説|従業員への説明ポイントも

【人事担当者必見】社会保険と国民健康保険の違いを徹底解説|従業員への説明ポイントも

KEYWORDS

人事担当者の皆様は、従業員から「社会保険と国民健康保険の違いは何ですか?」という質問を受けたことはありませんか。社会保険と国民健康保険は、いずれも日本の公的医療保障制度の柱ですが、加入対象者や保険料負担の仕組み、給付内容に大きな違いがあります。

本記事では、人事担当者が押さえておくべき社会保険と国民健康保険の違いを、実務に即して詳しく解説します。従業員への説明ポイントや、企業が注意すべき加入手続きの要点、さらには社内研修での活用方法まで、明日からすぐに使える実践的な情報をお届けします。

「複雑な人事制度構築を社内で検討している方必見!」 人事コンサルティングの活用事例を見る

目次

社会保険と国民健康保険の基本的な違い

制度の位置づけと目的

社会保険は、企業に雇用される労働者とその家族を対象とした保険制度です。健康保険法に基づき、企業と従業員が保険料を折半して負担することで、医療費の自己負担を軽減し、傷病手当金や出産手当金などの現金給付も受けられる仕組みとなっています。

一方、国民健康保険は、社会保険の適用を受けない自営業者や無職の方、パート・アルバイトなど短時間労働者を対象とした制度です。国民健康保険法に基づき、市区町村または国民健康保険組合が運営しています。

運営主体の相違点

社会保険は、全国健康保険協会(協会けんぽ)や各種健康保険組合が保険者として運営します。企業規模や業種によって加入する保険者が異なり、大企業では独自の健康保険組合を設立しているケースも少なくありません。協会けんぽや健保組合のほかに、公務員などが加入する「共済組合」も含まれます。

国民健康保険の運営主体は、都道府県と市区町村です。2018年度から都道府県が財政運営の責任主体となり、市区町村と共同で運営する体制に移行しました。

加入要件と対象者の違い

社会保険の加入条件

人事担当者が最も注意すべきポイントは、社会保険の加入要件です。正社員は原則として全員が加入対象となりますが、パートタイム労働者については以下の条件を満たす場合に加入義務が発生します。

2024年10月以降の短時間労働者の加入要件

項目要件
週所定労働時間20時間以上
月額賃金88,000円以上
雇用期間2ヶ月を超える見込み
学生除外(夜間・通信制は対象)
企業規模従業員51人以上

2024年10月から、社会保険の適用対象企業が従業員101人以上から51人以上に拡大されました。人事担当者は、自社の従業員数と各従業員の労働条件を正確に把握し、加入漏れがないよう管理する必要があります。

国民健康保険の加入対象者

国民健康保険は、社会保険に加入していないすべての人が対象となる「国民皆保険」の受け皿的な役割を果たしています。具体的には以下のような方々が加入します。

  • 自営業者・フリーランス
  • 退職して社会保険の資格を喪失した方
  • 社会保険の加入要件を満たさないパート・アルバイト
  • 年金受給者(後期高齢者医療制度の対象外)
  • 無職の方

人事担当者として重要なのは、従業員が退職する際、社会保険の資格喪失後14日以内に国民健康保険へ加入する必要があることを説明することです。この説明を怠ると、従業員が無保険状態になるリスクがあります。

保険料の負担と計算方法の違い

社会保険料の仕組み

社会保険料は、従業員の標準報酬月額に保険料率を乗じて算出されます。最大の特徴は、企業と従業員が折半して負担する点です。

協会けんぽの保険料率(2024年度・東京都の例)

保険の種類保険料率企業負担従業員負担
健康保険10.00%5.00%5.00%
介護保険(40-64歳)1.60%0.80%0.80%

標準報酬月額が30万円の従業員の場合、健康保険料は月額30,000円(企業負担15,000円、本人負担15,000円)となります。企業にとっては人件費の一部として、適切な予算管理が求められます。

国民健康保険料の計算方法

国民健康保険料は、前年の所得に基づいて算出される所得割と、加入者数に応じた均等割、世帯ごとの平等割を合算して決定されます。重要な点は、全額が加入者(世帯)の負担となることです。

保険料率は市区町村によって異なり、同じ所得でも居住地によって保険料が変わります。また、社会保険と異なり、扶養家族という概念がなく、世帯内の加入者それぞれに保険料が発生します。

保険料負担の比較例(年収400万円の場合の概算) ※自治体や世帯構成により大きく異なります

保険の種類本人負担企業負担合計
社会保険約24万円約24万円約48万円
国民健康保険約40万円なし約40万円

この例からわかるように、企業負担がない国民健康保険では、収入によっては本人の負担が重くなるケースがあります。

給付内容と保障範囲の違い

医療給付の共通点と相違点

医療機関での窓口負担は、社会保険も国民健康保険も原則3割(義務教育就学前は2割、70歳以上は所得に応じて1-3割)で共通しています。しかし、付加給付には大きな違いがあります。

社会保険(特に健康保険組合)では、自己負担額が一定額を超えた場合に払い戻しを受けられる「付加給付制度」を設けているケースが多く見られます。一方、国民健康保険にはこのような付加給付は基本的にありません。

現金給付の違い

人事担当者が従業員に説明すべき最も重要な違いの一つが、現金給付の有無です。

社会保険独自の現金給付

  1. 傷病手当金:病気やケガで働けなくなった際、最長1年6ヶ月間、標準報酬日額の3分の2が支給されます
  2. 出産手当金:出産のため仕事を休んだ際、産前42日・産後56日の期間、標準報酬日額の3分の2が支給されます
  3. 出産育児一時金:国民健康保険にも同様の制度がありますが、支給額や手続きに違いがある場合があります

国民健康保険には、傷病手当金や出産手当金の制度が原則としてありません(一部の国民健康保険組合を除く)。この違いは、従業員の福利厚生に直結するため、採用活動や労働条件の説明時に明確に伝えることが重要です。

お役立ち資料イメージ 経営者・人事部門のための

人事関連
お役立ち資料

資料内容

    制度設計を“経営インフラ”として機能させる仕組みと、組織力向上・人件費最適化を同時に実現するプロフェッショナルのアプローチを詳しくご紹介。「人事制度構築システム」「構築・運用コンサルティング」にご関心のある方は、ぜひご覧ください。

扶養制度の違いと実務上の注意点

社会保険における扶養認定

社会保険の大きなメリットの一つが、扶養家族を無料で加入させられる点です。従業員の配偶者や子ども、一定条件を満たす親族が、追加の保険料負担なく健康保険に加入できます。

扶養認定の主な条件

  • 年収130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)
  • 被保険者の年収の2分の1未満
  • 主として被保険者の収入により生計を維持されている

人事担当者は、従業員の配偶者がパート勤務を始める際や、子どもがアルバイトを始める際に、扶養認定の条件を満たすかどうかを確認する必要があります。年収が130万円を超えると扶養から外れ、配偶者自身が社会保険または国民健康保険に加入しなければなりません。

国民健康保険には扶養の概念がない

国民健康保険には扶養という概念が存在しません。世帯内に加入者が複数いる場合、それぞれに保険料が発生します。そのため、退職して社会保険から国民健康保険に切り替えた場合、配偶者や子どもの分の保険料も新たに負担する必要があり、家計への影響が大きくなります。

この点は、退職を検討している従業員への説明時に重要なポイントとなります。社会保険の任意継続制度(退職後最長2年間、在職時の社会保険を継続できる制度)と国民健康保険のどちらが有利かを比較検討できるよう、情報提供することが望ましいでしょう。

人事担当者が押さえるべき実務ポイント

加入・喪失手続きの流れ

社会保険の資格取得手続きは、従業員の入社日から5日以内に年金事務所または健康保険組合に届け出る必要があります。電子申請システム(e-Gov)を活用すれば、効率的に手続きを進められます。

退職時の資格喪失手続きも同様に重要です。退職日の翌日が資格喪失日となり、従業員は健康保険証を返却しなければなりません。返却が遅れると、退職後に誤って保険証を使用してしまうトラブルが発生する可能性があります。

よくある質問への対応方法

人事担当者が従業員から受ける代表的な質問とその回答例をご紹介します。

Q1: 「社会保険に加入すると手取りが減りますが、メリットはありますか?」

A: 確かに保険料負担により手取りは減少しますが、①傷病手当金や出産手当金など手厚い保障が受けられる、②将来の年金額が増える、③扶養家族を無料で加入させられるといったメリットがあります。長期的な視点で見ると、社会保険加入は大きな安心につながります。

Q2: 「パートの労働時間を調整して社会保険に入らないようにできますか?」

A: 法令上、加入要件を満たす従業員は必ず社会保険に加入しなければなりません。労働時間を調整して加入を回避することは、従業員・企業双方にとってリスクがあります。社会保険加入のメリットを正しく理解していただくことが重要です。

まとめ

社会保険と国民健康保険の違いを正確に理解し、従業員に適切に説明できることは、人事担当者の重要な役割です。社会保険は企業と従業員が保険料を折半し、傷病手当金や出産手当金などの手厚い保障がある一方、国民健康保険は全額自己負担で現金給付が限定的という大きな違いがあります。

特に、2024年10月からの適用拡大により、社会保険の加入対象者が広がっています。人事担当者は、自社の従業員の労働条件を正確に把握し、加入漏れや手続きミスがないよう細心の注意を払う必要があります。

また、退職する従業員に対しては、社会保険の任意継続と国民健康保険の比較情報を提供し、適切な選択ができるようサポートすることも大切です。従業員への丁寧な説明と、企業内研修の徹底により、組織全体の理解度を高め、コンプライアンスの強化と従業員満足度の向上を実現しましょう。

今日から、社会保険と国民健康保険に関する社内研修プログラムの見直しや、従業員向けFAQの整備に取り組んでみてはいかがでしょうか。正しい知識の共有が、働きやすい職場環境づくりの第一歩となります。


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の状況については、社会保険労務士等の専門家にご相談ください。