離職票・退職証明書の発行手続き完全ガイド|人事担当者が押さえるべき手順と注意点

離職票・退職証明書の発行手続き完全ガイド|人事担当者が押さえるべき手順と注意点

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従業員が退職するとき、人事担当者にとって「離職票の発行手続き」と「退職証明書の作成」は避けて通れない業務です。しかし、これら二つの書類は発行元・用途・罰則規定がまったく異なります。正確に理解していないと、ハローワークへの提出遅れや記載ミス、最悪の場合は法的なペナルティにつながることもあります。

本記事では、離職票・退職証明書それぞれの発行手続きを、担当者が実務でそのまま使える形で体系的に解説します。2025年1月から始まった電子交付制度の対応方法や、記載ミスが多い「離職理由欄」の書き方まで網羅していますので、ぜひ参考にしてください。

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目次

離職票と退職証明書の違いを正確に理解する

まず現場でよく混同されがちな「離職票」「離職証明書」「退職証明書」の三つの書類について整理します。それぞれ発行元、用途、法的根拠が異なるため、正しく使い分けることが人事担当者の第一歩です。

書類名発行元主な用途法的根拠
離職票(離職票-1・離職票-2)ハローワーク(国)失業給付の受給手続き雇用保険法
離職証明書(雇用保険被保険者離職証明書)会社が作成しハローワークへ提出離職票の発行申請のための書類雇用保険法
退職証明書会社(公文書ではない)国保・国民年金加入手続き、転職先への提出など労働基準法第22条

離職票はハローワークが発行する公文書であるのに対し、退職証明書は会社が独自に作成する私文書です。この違いを理解しておくだけで、発行手続きのミスを大幅に減らすことができます。

離職票の発行手続き|ステップ別の完全解説

離職票の発行は、会社がハローワークへ離職証明書を提出することで行われます。退職者本人がハローワークへ直接申請することはできません。以下の手順を把握しておきましょう。

ステップ1:退職者への確認

退職が決定したら、まず本人に離職票が必要かどうかを確認します。転職先が決まっている場合、失業給付を受ける必要がないため、離職票は基本的に不要です。一方、次の就職先が決まっていない場合や、59歳以上の退職者については必ず発行が必要です。

注意:59歳以上は本人の意思にかかわらず交付必須
退職日時点で59歳以上の従業員については、本人が不要と申し出ても離職証明書の提出が義務付けられています。これは「高年齢雇用継続給付」の算定に必要なためです。

ステップ2:離職証明書と資格喪失届の作成・提出

3枚複写の「雇用保険被保険者離職証明書」を作成し、「雇用保険被保険者資格喪失届」と合わせてハローワークへ提出します。提出期限は退職日の翌日から10日以内です。この期限を過ぎると退職者の給付手続きに支障が出るだけでなく、法的な罰則の対象となります。

  • 1枚目:事業主控え
  • 2枚目:ハローワーク提出用
  • 3枚目:退職者へ渡す「離職票-2」

ステップ3:ハローワークから離職票を受領し退職者へ送付

ハローワークの審査が完了すると「離職票-1」と「離職票-2」が交付されます。受領後は速やかに退職者へ送付してください。なお、2025年1月からはマイナポータルを通じて退職者が直接受け取れる電子交付制度も開始されています(詳細は後述)。

離職証明書の記入方法と見落としがちなポイント

離職証明書は記載項目が多く、記入ミスが起きやすい書類です。とくに以下の項目は担当者が誤りやすいため、丁寧に確認しましょう。

賃金支払状況欄の記入

賃金は「基本給だけ」を記載すれば良いと誤解されることが多いですが、家族手当・残業手当・通勤手当なども含めた労働の対償として支払われるすべての賃金が対象です。また、変動給(残業代など)は翌月払いの企業が多いため、「どの月の賃金か」を正確に対応させて記入する必要があります。

失業給付の受給資格は、原則として「賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12カ月以上」であることが条件です。ただし、11日未満の月であっても「賃金支払の基礎となった労働時間が80時間以上ある月」は1カ月としてカウントできるため、パートやアルバイトの離職手続きの際は注意してください。なお、有給休暇取得日も支払基礎日数に含まれます。

離職理由欄の記入

離職理由欄は、トラブルが最も多い項目です。離職理由によって失業給付の給付日数や給付開始時期が大きく変わるため、退職者がハローワークで異議申し立てをするケースも珍しくありません。

離職理由は主観的な評価ではなく、客観的な事実関係に基づいて記載し、届け出前に必ず退職者本人に内容を確認してもらいましょう。また、ハローワークから出勤簿・賃金台帳・就業規則などの確認書類を求められることがあります。事前に準備しておくと手続きがスムーズです。

退職の種別離職理由欄の記入例
自己都合退職「5.労働者の判断によるもの」→ (2)労働者の個人的事情による離職(一身上の都合)。具体的事情欄に退職願の提出日・退職日を明記。
会社都合退職(人員整理)「4.事業主からの働きかけによるもの」→ (3)希望退職の募集。業績悪化による人員整理の事実を具体的に記載。
契約期間満了「3.労働契約期間満了等によるもの」→ (2)労働契約期間満了による離職。契約期間・更新の有無を明記。

記載ミスの訂正方法

記入を誤った場合は、該当箇所に二本線を引いて取り消し、上部の余白に正しい内容を記入します。訂正した欄の左側欄外に「○欄○字訂正」などと記載するルールがあります。修正液(ホワイト)の使用は認められていませんので注意してください。

2025年1月開始|離職票の電子交付制度への対応

2025年1月20日から、マイナポータルを通じて離職票を退職者に直接送付するサービスが始まりました。会社が雇用保険の離職手続きを電子申請で行い、かつ以下の要件をすべて満たす場合に利用できます。

  • 届け出たマイナンバーが被保険者番号と正しく紐付いていること
  • 退職者自身がマイナポータルと雇用保険WEBサービスの連携設定を行うこと
  • 会社が電子申請で離職手続きを行うこと

要件を満たせばハローワークの審査完了後に退職者のマイナポータルへ自動送付されるため、郵送の手間が省けます。退職者側のメリットも大きいため、積極的に案内することをおすすめします。

e-Govによる電子申請も活用を
離職証明書の提出はe-Govを利用した電子申請も可能です。24時間いつでも申請できるため、退職日が月末に重なり提出期限が迫っている場合などに特に有効です。

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退職証明書の発行手続き|書き方から注意点まで

退職証明書は会社が独自に作成する私文書で、公文書である離職票とは性格が異なります。しかし従業員から請求された場合は発行が法律上の義務となるため、適切な対応が必要です。

退職証明書の主な記載事項

書式は法令上の定めがなく自由ですが、労働基準法第22条に基づき、以下の項目を退職者が請求した事項のみ記載するのが原則です。請求のない項目を記載してはなりません。

  • 退職の年月日
  • 雇用期間
  • 従業員の職位
  • 従事した業務の種類
  • 従業員の賃金
  • 退職理由(退職者が請求した場合のみ)

退職証明書が必要になる主なケース

退職証明書が必要になる場面は大きく二つあります。一つ目は、退職者が国民健康保険・国民年金の加入手続きを行う場合です。離職票の発行には時間がかかることがあるため、退職証明書があれば先に手続きを進めることができます。二つ目は、転職先から前職の勤務内容や退職理由の確認を求められる場合です。

退職証明書の申請期限と罰則

労働基準法により、従業員が退職証明書を請求できる期間は退職から2年間と定められています。退職から数カ月後に依頼が来ることもあるため、退職者情報は2年間保管しておく必要があります。正当な理由なく交付しない場合は30万円以下の罰金が科せられます。

発行しない場合の罰則まとめ

離職票・退職証明書はいずれも、法律で定められた義務があります。担当者として罰則規定を正確に把握しておきましょう。

書類発行義務の根拠法違反した場合の罰則
離職票(離職証明書)雇用保険法第76条・第83条6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金
退職証明書労働基準法第22条・第120条30万円以下の罰金

離職票については懲役が科される可能性もある重い規定です。「忙しかったから」「手続きを忘れていた」では済まされません。退職者から希望の申し出があった時点で、速やかに手続きを開始する体制を整えましょう。

対応手順を確認しておく

離職票・退職証明書に関するミスや遅延の多くは、担当者の知識不足や引き継ぎ不備から生じます。とくに退職手続きは年度末に集中しやすく、複数の退職者が重なることで対応が後手に回るケースが少なくありません。

こうしたリスクを根本から解決するには、担当者個人の経験だけに頼るのではなく、以下の項目について日ごろから確認する必要があります。

  • 離職票・退職証明書の違いと法的根拠の理解
  • ハローワークへの提出期限と電子申請の操作方法
  • 離職理由の分類と記入ルールの演習(記入例を使ったワークショップ形式)
  • 退職者への説明・確認のコミュニケーション手順
  • 書類の保管期間と情報管理のルール

手続きに関するチェックリストを整備し、退職者ごとに進捗を管理する仕組みを設けることで、提出期限の遵守率が向上します。社内研修を「コスト」ではなく「法的リスクへの投資」として位置付けることが、現代の人事部門には求められています。

まとめ|離職票・退職証明書の発行手続きを確実に行うために

本記事では、人事担当者が実務で直面する離職票・退職証明書の発行手続きについて詳しく解説しました。最後に重要ポイントを整理します。

  • 離職票はハローワークが発行する公文書。会社は離職証明書を退職日翌日から10日以内に提出する義務がある
  • 59歳以上の退職者は、本人の意思にかかわらず離職証明書の提出が必須
  • 離職証明書の離職理由は客観的事実に基づき、退職者本人と内容を必ず確認する
  • 2025年1月からマイナポータルによる離職票の電子交付制度が開始。積極的な活用を推奨
  • 退職証明書は従業員の請求から2年以内に対応義務あり。発行しない場合は30万円以下の罰金
  • 社内研修の定期実施と手続きの標準化が、ミス・遅延防止の根本的な解決策になる

退職手続きに不安を感じていませんか?

まずは自社の退職対応フローを見直し、チェックリストと研修プログラムの整備から始めてみましょう。
不明な点はお近くのハローワークや社会保険労務士にご相談ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の状況については、社会保険労務士等の専門家にご相談ください。