勤務間インターバル制度の義務化はいつから?人事担当者が今すぐ押さえるべき全知識

勤務間インターバル制度の義務化はいつから?人事担当者が今すぐ押さえるべき全知識

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「勤務間インターバル制度って、うちの会社は対応できているの?」——そんな疑問を持つ人事担当者の方は多いのではないでしょうか。近年、働き方改革の一環として注目を集める勤務間インターバル制度ですが、「義務化はいつから?」「何時間のインターバルが必要?」「未対応でも罰則はあるの?」といった基本的な疑問が現場では多く聞かれます。

本記事では、制度の概要から法改正の経緯、具体的な導入ステップ、助成金の活用方法、そして社内研修による定着化まで、人事担当者が今すぐ知っておくべき情報を網羅的に解説します。自社の対応に不安がある方は、ぜひ最後まで読み進めてください。

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目次

勤務間インターバル制度とは何か

制度の基本的な仕組み

勤務間インターバル制度とは、1日の勤務が終了してから、翌日の始業までの間に一定時間以上の休息時間(インターバル)を設ける仕組みのことです。たとえば「11時間のインターバルを確保する」と定めた場合、深夜0時まで残業した従業員は、翌朝11時より前に出社させることができません。

この制度のねらいは、働く人の生活時間・睡眠時間を物理的に確保することにあります。長時間労働や睡眠不足が続くと、業務上のミスや事故のリスクが高まるほか、過労死・メンタルヘルス不調の原因にもなります。勤務間インターバルはこうしたリスクを構造的に防ぐための仕組みです。

インターバル時間の目安

法令上、インターバルの時間数は明示されていませんが、EU(欧州連合)では労働者に対して原則として「連続11時間以上の休息」を確保することが求められています(業種や業務内容により例外あり)。日本では具体的な時間数の法的基準は設けられていないものの、このEU基準などを参考に、9〜11時間程度のインターバル設定を採用する企業が多いとされています。

インターバル時間効果の目安
8時間未満睡眠確保が困難なケースも
9〜10時間最低限の睡眠確保が可能
11時間以上EU基準に準拠し、健康影響リスクを低減
12時間以上余裕ある生活時間も確保可能

勤務間インターバル制度の義務化はいつから始まったか

2019年4月の法改正が転換点

勤務間インターバル制度の「努力義務化」は、2019年(平成31年)4月1日からです。「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(平成30年7月6日公布)により、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(労働時間等設定改善法)が改正され、企業は勤務間インターバル制度を導入するよう努めなければならないとされました。

参考:東京労働局「勤務間インターバル制度をご活用ください」

「努力義務」と「義務(強制)」の違い

ここで注意が必要なのは、現時点では罰則を伴う強制義務ではなく「努力義務」であるという点です。努力義務とは、「取り組むよう努めなければならない」という法的要請であり、未導入であっても直ちに罰則が科されるわけではありません。

ただし、以下の理由から「努力義務だから対応しなくていい」という判断はリスクがあります。

  • 将来的に制度の強化や義務化が議論される可能性がある
  • 導入企業割合の数値目標が政府により設定されている
  • 採用・リテンション面での競争力低下につながる
  • 過重労働による労災が発生した場合、安全配慮義務違反を問われるリスクがある

政府が掲げる数値目標

令和3年7月30日の閣議決定で変更された「過労死等の防止のための対策に関する大綱」では、2025年(令和7年)までに勤務間インターバル制度を知らなかった企業割合を5%未満にすること、および導入している企業割合を15%以上にするという数値目標が定められています。

この目標が示すとおり、国として制度の普及を強力に推進しており、人事担当者として「知らなかった」では済まない時代になっています。

導入企業の現状と人事担当者が感じる課題

導入率はまだ低水準

厚生労働省の調査などによると、勤務間インターバル制度の導入率は依然として1割前後にとどまっており、政府目標の15%にはまだ開きがあります。業種や企業規模によって状況は異なりますが、特に中小企業での導入が遅れている傾向があります。

現場でよく聞く導入への壁

課題内容
管理職・現場の理解不足「残業は当然」という意識が根強い
システム・勤怠管理の対応既存の勤怠システムでインターバルを管理できない
業務量の問題インターバルを設けると業務が回らないと感じる
周知・ルール化の手間就業規則の改定や社内周知に時間がかかる
コスト懸念代替人員確保や残業代管理の負担を懸念

これらの課題の多くは、制度の正しい理解と社内研修の充実によって解消できます

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資料内容

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人事担当者が進めるべき導入ステップ

ステップ1:現状の労働時間を把握する

まず、自社の従業員の勤務終了〜翌日始業までの時間を実態ベースで把握します。勤怠システムのデータを活用し、インターバルが短くなりがちな部署・職種・時期を特定することが第一歩です。

ステップ2:インターバル時間数と適用対象を決める

自社の業務実態を踏まえて、何時間のインターバルを設定するかを検討します。適用対象も「全従業員」とするか「管理職を除く」とするかなど、自社に合った設計が必要です(※管理監督者は労働時間規制の適用外ですが、健康確保の観点から対象に含める企業もあります)。

ステップ3:就業規則・労働協約の整備

制度を正式に運用するには、就業規則への明記が必要です。また、労使間で合意を形成するために労働組合や従業員代表との協議も行いましょう。

ステップ4:勤怠管理システムの対応

インターバル違反をリアルタイムで検知・警告できるよう、勤怠管理システムを整備します。多くのクラウド型勤怠ツールでは、この機能が標準搭載または追加設定で対応可能です。

ステップ5:管理職・従業員への周知と社内研修の実施

制度の効果を最大化するには、ルールを定めるだけでなく、全社的な意識改革が不可欠です。特に見落とされがちなのが、管理職層への研修です。「部下に残業を指示しない」「終業後の連絡を控える」など、管理職の行動変容を促す研修プログラムを設けることが、制度の実効性を高める鍵となります。

一般従業員向けには、「なぜこの制度が必要か」「休息を取ることが業務パフォーマンスにもつながる」という制度の趣旨・メリットを丁寧に伝える研修が効果的です。勤務間インターバルの意義を理解した従業員が増えることで、自発的に就業時間を意識する文化が醸成されます。

ポイント:社内研修は導入前・導入後の二段階で行うのがベストプラクティスです。 導入前には制度の趣旨説明と質疑応答の場を設け、導入後は定期的に運用状況の振り返りと追加研修を実施することで、形骸化を防ぎます。

活用できる助成金・支援制度

時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)

中小企業が勤務間インターバル制度を導入する際には、「時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」を活用できます。

厚生労働省は、勤務間インターバルの導入に取り組む中小企業事業主を支援するためにこの助成金を用意しています。詳しくは厚生労働省の公式サイトをご参照ください。
※助成金の内容や申請要件は年度ごとに変更されるため、必ず最新情報を確認してください。

主な支給対象となる取り組みは以下の通りです。

  • 労務管理担当者への研修実施
  • 勤怠管理システムの導入・改修
  • 就業規則・労使協定の作成・変更
  • 労働者への周知・啓発活動

働き方・休み方改善コンサルタントの活用

東京労働局では、経験豊富な社会保険労務士の中から任命した「働き方・休み方改善コンサルタント」が、勤務間インターバル制度の導入を含む労働時間設定の改善に向けた取り組みを支援しています。個別訪問によるアドバイスや、複数企業が参加する講習会への講師派遣といったサービスを無料で提供しています。

社内研修を軸にした定着化戦略

制度を「導入して終わり」にしないために、社内研修を継続的な取り組みとして位置づけることが重要です。

管理職向け研修のポイント

管理職は部下の労働時間に直接影響を与える存在です。研修では以下を重点的に扱いましょう。

  • 勤務間インターバル制度の法的背景と努力義務の意味
  • 部下への業務指示・残業依頼の適切な方法
  • 終業後・休日の連絡を控えるための職場ルールづくり
  • 長時間労働を是正することで生産性が向上した事例紹介

一般従業員向け研修のポイント

  • 睡眠と業務パフォーマンスの関係(健康リテラシーの向上)
  • 制度の利用方法と申告ルール
  • 帰りにくい雰囲気をなくすための心理的安全性の醸成
  • 時間内に業務を完結させるためのタイムマネジメントスキル

研修を単なる「お知らせ」にとどめず、双方向のワークショップ形式や事例共有の場を設けることで、従業員の当事者意識を高めることができます。人事担当者主導で年1〜2回の定期研修サイクルを確立することが、制度の長期的な定着につながります。

まとめ:勤務間インターバル制度への対応は今すぐ始めよう

勤務間インターバル制度の努力義務化は2019年4月から始まっており、すでに6年以上が経過しています。政府は2025年までの導入率目標を掲げており、今後制度の強化が議論される可能性もあります。

本記事の主要ポイントをおさらいします。

  • 勤務間インターバル制度とは、終業〜翌日始業まで一定の休息を確保する仕組み
  • 2019年4月から努力義務化(罰則なし)、ただし将来的な制度強化に備える必要あり
  • 政府目標:2025年までに導入企業割合15%以上
  • 助成金・コンサルタント支援など活用できる公的サポートが充実
  • 制度の実効性を高めるには、管理職・従業員への継続的な社内研修が不可欠

「いずれ対応しよう」と後回しにしているうちに、採用競争力の低下や労働トラブルのリスクが高まります。まずは自社の労働時間データを確認し、インターバルの現状を把握するところから始めてみてください。

制度導入に関してお悩みがある場合は、東京労働局の案内やコンサルタントへの相談を積極的にご活用ください。人事担当者の皆さんの取り組みが、職場全体の健康と生産性を守る第一歩となります。

験がある人は39.5%にのぼり、全年代平均の31.4%を大きく上回っています。新入社員を多く抱える企業にとって、この数字は見過ごせない現実です。


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の状況については、社会保険労務士等の専門家にご相談ください。

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