有給休暇の新ルール2026年完全ガイド|人事担当者が今すぐ対応すべき実務ポイント
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目次
- 2026年の有給休暇をめぐる制度動向の全体像
- 有給休暇の賃金算定方式の見直し議論:何がどう変わる可能性があるのか
- 2026年に向けて人事が注視すべき主な制度変更・動向
- 有給休暇の見直しに向けた実務対応:3つのステップ
- 有給休暇の取得促進に向けて:人事担当者が取り組むべき施策
- 社内研修の設計
- まとめ
2026年の有給休暇をめぐる制度動向の全体像
2026年は、人事担当者にとって制度対応の重要性が一層高まる年といえます。労働基準法をはじめ、女性活躍推進法、子ども・子育て支援に関する新たな制度の検討など、人事・労務管理に関わる見直しや制度変更の議論が進んでいます。なかでも、有給休暇に関する見直しは従業員の賃金計算や就業規則の根幹に関わるため、人事担当者として注視すべき重要テーマです。
今回の議論の背景にあるのは、近年の働き方改革の流れを踏まえた労働基準法の見直し検討です。産業構造の変化やテレワークの普及、副業・兼業の広がりといった多様な働き方に対応するため、国の有識者会議「労働基準関係法制研究会」が設置され、2025年に制度見直しの方向性が報告書として整理されました。
この記事では、有給休暇に関する主な論点を中心に、2026年時点で人事担当者が押さえておくべきポイントと実務対応の方向性を整理します。今後の制度変更を見据え、自社の就業規則・社内研修・システム対応まで計画的に準備を進めてください。
有給休暇の賃金算定方式の見直し議論:何がどう変わる可能性があるのか
現行の3方式から「通常の賃金」への見直しが検討されている
現在、有給休暇取得時の賃金は法律上、以下の3つの算定方式から企業が選択できる仕組みになっています。
| 算定方式 | 内容 | 見直し議論の方向性 |
|---|---|---|
| 通常の賃金 | 所定労働時間を働いた場合と同額を支給 | 原則とする方向で検討 |
| 平均賃金 | 直近3か月の賃金実績から算出 | 見直し対象として議論 |
| 標準報酬日額 | 健康保険の等級をもとに算出 | 限定的な扱いの可能性 |
制度見直しの議論では、これらの方式を「通常の賃金」を基本とする形へ整理する方向性が論点の一つとして挙げられています。
なぜ見直しが議論されているのか
この議論の背景には、特にパート・アルバイトなど短時間労働者における不公平の問題があります。平均賃金や標準報酬日額で算出すると、有給休暇取得時の受取額が通常の日給より低くなるケースがあり、「有給を取ると収入が減る」と感じる状況が指摘されています。
通常の賃金を基準とする方向に整理されれば、従業員は「休んでも出勤時と同等の賃金が支払われる」という安心感につながる可能性があります。一方、企業側にとっては、人件費への影響や就業規則の見直しといった実務対応が課題となることが想定されます。
注意点:2026年3月時点では法改正は成立していない
これらの内容はあくまで制度見直しの議論段階であり、法改正として成立しているものではありません。今後、労働政策審議会での議論や法案提出の動向を経て、具体的な制度として確定していく見込みです。施行時期も含めて未確定要素が多いため、最新情報を継続的に確認することが重要です。
2026年に向けて人事が注視すべき主な制度変更・動向
労働基準法の抜本的な改正は現時点で成立していませんが、2026年前後には人事実務に影響する制度変更や対応強化の流れが見られます。有給休暇管理にも間接的に関わる主な項目を整理します。
| 時期 | 制度・動向 | 実務への影響 |
|---|---|---|
| 2026年前後 | 子ども・子育て支援に関する新たな拠出制度の導入検討 | 給与計算や社内説明への影響の可能性 |
| 2026年前後 | 女性活躍推進法の情報公表項目の拡充 | 有給取得率などのデータ管理強化の必要性 |
| 2026年前後 | 治療と仕事の両立支援の取り組み強化 | 就業規則・社内制度の整備 |
| 継続的 | 障害者雇用率の段階的引き上げ | 採用計画・配置の見直し |
| 継続的 | カスタマーハラスメント対策の強化要請 | 方針策定・相談体制整備 |
特に、女性活躍推進に関連する情報公表の強化により、有給休暇取得状況の把握やデータ整備の重要性は今後さらに高まると考えられます。
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有給休暇の見直しに向けた実務対応:3つのステップ
ステップ1:現状の就業規則と賃金算定方式の確認
まず自社の就業規則を確認し、有給休暇取得時の賃金算定方式がどの方式で規定されているかを把握してください。「平均賃金」を採用している場合は、今後の制度見直しに備えて対応方針を検討しておくことが重要です。制度変更が実施された場合には、就業規則の改訂や周知手続きが必要となる可能性があります。
また、シフト制や変形労働時間制を採用している場合は、「有給取得日における所定労働時間の考え方」が明確に定義されているかも確認が必要です。
ステップ2:人件費シミュレーションと給与計算システムの確認
将来的に算定方式が見直された場合に備え、過去の有給取得実績をもとに人件費への影響を試算しておくことが有効です。早期にシミュレーションを行うことで、経営判断に必要な材料を準備できます。
給与計算システムについても、複数の算定方式への対応状況や将来的な変更への柔軟性を確認しておくことが望まれます。
ステップ3:社内研修の徹底で現場への浸透を図る
制度変更は、最終的に現場で正しく運用されて初めて意味を持ちます。管理職への研修を通じて、有給休暇取得の重要性や適切な対応方法を理解させることが不可欠です。
特に、取得をためらわせるような発言や不適切な対応は労務リスクにつながるため、制度趣旨の理解を深める教育が重要になります。
有給休暇の取得促進に向けて:人事担当者が取り組むべき施策
計画的付与制度の積極的活用
年次有給休暇の計画的付与制度(労使協定を締結することで、有給休暇の取得日を会社が計画的に指定できる制度)を活用することで、従業員が気兼ねなく有給を取れる環境を整えられます。夏季休暇や年末年始のまとめ取りだけでなく、分散取得を促す仕組みとしても活用できます。
管理職評価への有給取得率の組み込み
部門ごとの有給取得率を管理職の評価指標に組み込むことで、現場レベルでの取得促進が加速します。「チームの有給消化率が低いと評価に影響する」という仕組みがあれば、管理職が自発的に部下の取得状況を確認し、声掛けを行うようになります。
勤怠システムによる取得状況の見える化
勤怠管理システムを活用して、各従業員の有給残日数と取得状況をリアルタイムで可視化することも有効です。「年5日の取得義務」の達成状況を自動アラートで通知する機能を設定しておけば、取得漏れを事前に防ぐことができます。
社内研修の設計
有給休暇の新ルールへの対応において、社内研修の徹底は単なる「お作法」ではなく、法的リスクを回避するための実質的な手段です。以下の流れで研修プログラムを設計してください。
まず全従業員向けの制度周知研修として、改正内容と自社の就業規則の変更点をわかりやすく説明します。「有給を取ると損になるのでは?」という誤解を払拭し、制度変更のメリットを伝えることが目的です。
次に管理職向けの労務管理研修を実施します。有給取得の妨害・阻止は法律違反となることや、パワハラとの関係、取得促進のための具体的なコミュニケーション方法などを扱います。eラーニングを活用することで、多拠点・シフト勤務の職場でも受講しやすい環境を整備できます。
さらに人事・総務担当者向けの実務研修として、就業規則の改訂内容の理解、給与計算の新しい手順、有給取得実績の管理方法などを習得してもらいます。制度の運用責任を担う立場として、最も深い理解が求められます。
まとめ
2026年時点では、有給休暇に関する大きな制度変更は議論段階にありますが、今後の改正に備えた準備はすでに重要なテーマとなっています。
- 賃金算定方式の見直しが議論されている
- 情報公表や取得状況管理の重要性が高まっている
- 就業規則・システム・研修の準備が鍵
制度確定後に慌てて対応するのではなく、「準備できている企業」と「できていない企業」で差がつく領域です。今のうちから現状把握と体制整備を進めてください。
本記事は2026年4月時点の制度動向をもとに作成しています。最新情報は公的機関の発表をご確認ください。
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