週休3日制の仕組みや導入のメリットを解説|実際の導入事例も紹介

週休3日制の仕組みや導入のメリットを解説|実際の導入事例も紹介

人手不足の解消や多様な働き方への対応、生産性の向上につながる組織のあり方を模索してはいないでしょうか。
さまざまなアプローチがあるなか、昨今では週休3日制を導入して、採用候補者の増加や従業員のエンゲージメントを高めている企業があります。

一方で、週休3日制は一部の企業のみに導入されている制度のため、週休3日制の仕組みやメリットを知らないという方は少なくありません。そこで本記事では週休3日制の仕組みや導入のメリット、実際の導入事例などを解説します。

週休3日制の仕組みや導入のメリットを把握できれば、導入に向けてスムーズに動き出せます。週休3日制について知識を深めたい方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

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目次

週休3日制|週内に休日を3日設けた働き方

タイプ1日あたりの
労働時間
総労働時間給与概要
労働時間圧縮型増加変化なし変化なし1日あたりの労働時間は増加するが休日は増える
労働時間/給与削減型変化なし減少減少休日が増える一方で給与も減る
労働時間削減/給与維持型変化なし減少変化なし休日が増える一方で給与は変わらない

週休3日制とは、週内に休日を3日設けた働き方です。人手不足や働き方に対する多様なニーズに応えられる制度のため、注目を集めています。

政府は2021年から週休3日制を推進しており、2025年には国家公務員にも導入されている制度です。

週休3日制にはさまざまなタイプがあり、ニュースなどでよく耳にする「選択的週休3日制」は、従業員の希望に応じて週3日の休日を取得できる制度です。本章では週休3日制の3タイプを解説します。

週休3日制のタイプ①:労働時間圧縮型

労働時間圧縮型は、1日あたりの労働時間を増やすことで、休日を増やすタイプの週休3日制です。従来の1日8時間労働ではなく、1日10時間を4日間働くことにより、1日分の休みを作り出します。

  • 従来の週休2日制:1日8時間労働×5日=40時間
  • 労働時間圧縮型の週休3日制:1日10時間労働×4日=40時間

労働時間は週休2日制と変わらないため、給与が維持できる点はメリットになります。

一方で1日10時間労働となるため、負担は重くなり、残業が発生する場合には退勤時間がより遅くなる点がデメリットです。製造業や一部の事務職など、業務量が比較的安定している職場での導入が見られます。

週休3日制のタイプ②:労働時間/給与削減型

労働時間/給与削減型は、休日が1日増える一方で労働時間減少に合わせて給与が減るタイプの週休3日制です。
従来の週40時間の労働時間から週32時間の労働時間に減るため、給与も連動して減額されます。

  • 従来の週休2日制:1日8時間労働×5日=40時間
  • 労働時間/給与削減型の週休3日制:1日8時間労働×4日=32時間(給与は減額)

1日8時間の労働時間は変わらないため、従業員にとっては1週間の負担が軽くなる点はメリットです。

一方で給与が減るため、制度導入時には対象者や適用条件を明確にすることが求められます。労働時間/給与削減型は、育児や介護との両立を目的として導入されるケースが目立ちます。

週休3日制のタイプ③:労働時間削減/給与維持型

労働時間削減/給与維持型は、総労働時間を減らしながらも給与を維持するタイプの週休3日制です。
労働時間削減/給与維持型の実現には、労働時間を減らしつつも、週休2日制と同等かそれ以上の業績を出すことが前提になります。

  • 従来の週休2日制:1日8時間労働×5日=40時間
  • 労働時間削減/給与維持型の週休3日制:1日8時間労働×4日=32時間(給与は維持)

休日が増えると一方で給与は維持されるため、人材採用では人材を惹きつける強力な武器になります。しかし、少なくなった労働時間で今までどおりか、今まで以上の結果を求められるため、従業員へのプレッシャーは常にかかる点は注意が必要です。

週休3日制を導入するメリット

従来の週休2日制から週休3日制へ切り替えるには、制度の改定や従業員の意識改革など超えなければならないハードルがあります。一方で週休3日制は単なる休日数の増加にとどまらず、さまざまなメリットがあるため、週休3日制に踏み切る企業が現れています。

本章では、実際に週休3日制を導入した場合の具体的なメリットを解説します。

従業員のワークライフバランスが実現しやすくなる

週休3日制になると、家庭や趣味、休養に充てられる時間が増えるため、従業員のワークライフバランスが向上します。また休みが増えることで、オン・オフの切り替えがしやすくなり、従業員のモチベーション向上につながります。

「週休3日制にすると仕事が終わらないのでは?」との懸念はありますが、限られた労働時間で成果を出そうとする意識が高まるため、効率的な働き方への進む点もメリットです。

従業員がキャリア開発の機会を作れる

週休3日制になると、休息や家族サービス以外に充てられる日が増えるため、キャリア開発の機会が作りやすくなります。

増えた休みで資格の勉強や専門学校へ進学、副業などに取り組めば、従業員が望む形でのキャリア開発が可能です。キャリア開発によりスキルや知識が増えれば、新しい技術や画期的なアイデアなどの還元が期待できます。

従来の週休2日制の場合は、平日の疲れを癒したり、家族と出掛けたりすると、あっという間に2日の休みが終わります。キャリア開発の機会を設けることは、意識を高く持たないと難しいといえるでしょう。

採用候補者の増加につながる

週休3日制は求職者にとって魅力的な制度のため、応募者の増加につながりやすくなります。価値観が多様化している昨今では「育児や介護があるから休みが多い方がよい」「年収よりも休暇が大事」など、労働に対するニーズはさまざまです。

週休3日制は多様化する労働者のニーズに応えやすいため、応募者の増加につながる制度です。

週休3日制を導入するデメリット

週休3日制には多くのメリットがある一方で、組織運営や労務管理の面でデメリットもあり、実際に導入を検討する際には、自社のビジネスモデルに適応できるかどうか慎重な検討が必要不可欠です。

本章では週休3日制を導入するデメリットを解説します。

従業員同士のコミュニケーション機会が減る

週休3日制により、顔を合わせる機会が減ることから、従業員同士のコミュニケーション減少が懸念されます。コミュニケーションの減少は、情報の共有不足やトラブル対応への遅れなど日常的な場面以外にも、人材教育の面に影響を及ぼします。

顔を会わせる機会が減れば、上司や先輩からフィードバックを得られる機会も減るため、成長機会が失われることは言うまでもありません。ノウハウや企業文化などの知識を共有する機会も失われるため、組織全体のパフォーマンスにも影響を及ぼします。

勤怠管理が難しくなる

週休3日制のタイプによっては、個々で勤務パターンが異なるため、勤怠管理が難しくなります。たとえば、ある従業員は毎週水曜日と週末、別の従業員は平日1日と週末などになり、休暇日数の管理や休日労働の把握などが難しくなるでしょう。

従来の完全週休2日制は一律で管理がしやすいため、週休3日制の導入直後は勤怠管理で誤りや問い合わせが増えることが予想されます。

取引先への対応により連携が必要になる

週休3日制のタイプによっては、個々で休みのタイミングが異なるため、取引先への対応により連携が必要になります。たとえば、ある担当者が休みの際に取引先から問い合わせがあった場合は、別の担当者で穴埋めをすることで、顧客満足度を損ねることなく対応をします。

複数担当制は、日頃から取引先に対する情報共有が必要不可欠であり、週休3日制を導入することで生じるタスクと言えるでしょう。完全週休2日制の企業同士であれば、問題にならないことも週休3日制を採用することで課題が浮き彫りになるケースがあります。

週休3日制を導入する際には、取引先への対応以外にも課題が生じるかの確認は必要です。

週休3日制を導入している企業・自治体

既に週休3日制を導入している企業・自治体はいくつかあります。実際の事例から判明したメリットや課題があれば、導入の際に参考になります。

本章では週休3日制を導入している企業・自治体を解説します。

LINEヤフー株式会社

LINEヤフー株式会社の子会社であるLINEヤフーコミュニケーションズ株式会社では、育児・介護に関わる社員向けに「労働時間/給与削減型」の週休3日制を導入しています。週末の休日に加えて、1週あたり1日の無給休暇の取得を許可しており、育児・介護と仕事のバランスが取りやすくなっています。

同社の週休3日制は月単位で働く曜日を変更できる、週休2日制への復帰も自由など社員のライフステージに合わせた働き方を支援している点が特徴です。

参考:一人ひとりのパフォーマンス最大発揮と成長を目的に、 育児・介護・障がい・妊娠等の両立支援を拡充 | LINEヤフーコミュニケーションズ株式会社

株式会社ファーストリテイリング

アパレル品の製造・販売を手掛ける「株式会社ファーストリテイリング」では、地域社員向けに「労働時間圧縮型」の週休3日制を導入しています。同社の制度は、1日10時間×週4日勤務で平日3日を休日としています。

給与は週休2日制度と変わらないため、休日を確保しつつ、給与も確保できる制度です。同社では週休3日制により職場の魅力を上げ、多くの人材を確保しようという狙いがあります。

参考:地域正社員の制度 | 株式会社ファーストリテイリング

千葉県

民間企業を中心に週休3日制を導入するなかで、千葉県も週休3日制を導入しており「労働時間圧縮型」を採用しています。県の制度は4週間単位の総労働時間は週休2日制と変わらない一方で、勤務時間を調整すれば、週休3日にできる制度です。

たとえば、1週間の労働時間を1日10時間×週4日にすることで、平日1日を休みにすることができます。一方で平日1日の休みは週1回とされており、過剰な労働や組織内の稼働バランスを図ろうとしています。

総労働時間は週休2日制と変わらないため、給与も週休2日制度と変わりません。

参考:職員が働きやすい職場環境の整備について | 千葉県

週休3日制の導入に失敗した例

LINEヤフーコミュニケーションズやファーストリテイリングのように、週休3日制が定着している企業もあれば、導入に失敗した企業も中にはあります。

海外の大手スーパーマーケット「ASDA」は、労働時間圧縮型の週休3日制を試験的に導入しましたが、従業員から長時間労働に疲弊する声や育児との両立困難などの意見が寄せられたことで、導入の取り止めを決定しました。

週休3日制の導入は丁寧な制度設計が必要

週休3日制は単に休みをもう1日増やせばよいという制度ではなく、丁寧な制度設計の上に成り立ちます。

たとえば、事前の社内調査や他社事例の把握、社内規定とのすり合わせなどが必要です。丁寧な制度設計がないまま導入を進めると、現場からの思わぬ反発や等級・報酬制度などとの矛盾などが起こり、運用が立ちいかなくなるリスクがあります。

社内に週休3日制の制度設計ができる人材がいなければ、外部人材を活用するのも一つの方法です。

人事・労務のお悩みはビズアップの人事コンサルへ

週休3日制はワークライフバランスの実現やキャリア開発の機会などのメリットがある一方で、コミュニケーションの希薄化や勤怠管理の難化などのデメリットがあります。制度が定着している企業もあれば、導入に失敗して週休2日制に戻している企業があるなど、週休3日制の導入は一筋縄ではいかないことがわかります。

ビズアップの人事コンサルでは、人事・労務のお悩み相談を承っています。週休3日制の導入に際して、就業規則の変更や社内の意識調査など、必要なアクションが多く、何をすればよいのかわからない…という担当者の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の状況については、専門家にご相談ください。

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