派遣契約を終了する場合はどうしたらいい?トラブルを避けるための対応を紹介

派遣契約を終了する場合はどうしたらいい?トラブルを避けるための対応を紹介

KEYWORDS

派遣社員との契約終了は、「いつまでに」「誰が」「誰に」「何を」伝えるかで結果が変わります。派遣元(派遣会社)から終了を申し出られるケースもあれば、派遣先(受入企業)側から終了を申し出たいケースもあり、同じ“契約終了”でも段取りと注意点が異なります。対応を誤ると、現場の一言がトラブルに発展したり、途中解除として損害負担の論点が出たりしかねません。

本記事では、まず派遣契約に関する基本ポイントを押さえたうえで、①派遣元から派遣先に契約終了を伝える場合②派遣先から派遣元に契約終了を伝える場合それぞれの進め方を実務目線で解説します。

目次

派遣契約と労働契約は別物

派遣契約の終了を考えるときに注意しておかなければならないのは、2つの契約が存在していることです。派遣先(受入企業)と派遣元(派遣会社)の間には「労働者派遣契約(個別派遣契約)」があり、派遣社員は派遣元と「労働契約」を結んでいます。したがって、派遣契約が終了しても、派遣社員の雇用は派遣元側で直ちに終了するわけではありません。

派遣先が管理すべきなのは、派遣元との派遣契約(基本契約・個別契約)に関する範囲です。一方、派遣社員の雇用主は派遣元であり、派遣先が「雇用を終了させる」立場にはありません。この前提を外すと、「明日で契約終わりだから来なくていい」など、派遣先から直接伝えてしまいがちです。直接の通告は誤解や対立を生みやすいため、まず派遣元の担当者に連絡し、事実関係と手順をすり合わせる運用が欠かせません。 

満了と中途解除

契約期間の満了により更新しないのか、期間途中で解約する「中途解除」なのかで、実務の扱いは大きく変わります。満了なら更新可否の判断と引継ぎ調整が中心になりますが、中途解除は原則として慎重な検討が必要になります。特に派遣先都合で中途解除となる場合、派遣元の就業機会確保に配慮した対応や、予告・費用負担が論点化しやすいので、現場判断で進めないことが重要です。 

まず押さえる確認ポイント(終了理由・期限・窓口)

契約終了を考える際に確認すべきポイントは「終了理由」「契約上の期限」「コミュニケーション窓口」の3つです。終了理由は、業務量減少・予算都合・勤怠や適性の不一致など、説明の仕方で受け止められ方が変わります。期限は、個別契約の終期と更新判断の締切(いつまでに回答が必要か)を押さえることが大切です。窓口は、人事・総務などに一本化し、現場が派遣社員へ先に話さない体制にします。ここが曖昧だと、派遣元への説明と現場発言が食い違い、トラブルの元となります。

以下は、確認リストです。この内容が揃っていれば、派遣元からの終了申し出にも、派遣先からの終了希望にも、落ち着いて対応しやすくなります。

確認項目確認する資料・相手よくある落とし穴
終了の区分(満了/中途解除)個別派遣契約、更新履歴、現場の要望「更新しない」つもりが実態は中途解除になっている
期限(回答締切・最終日・引継ぎ)契約終期、派遣元からの更新確認フロー派遣元の手続きに間に合わず、調整が泥沼化する
窓口(誰が連絡するか)派遣元担当者、社内の決裁者・現場責任者現場が派遣社員へ直接通告して信頼関係が崩れる

【派遣元→派遣先】契約終了を申し出られたときのプロセス

派遣元企業から「次回更新は難しい」「契約を終了したい」と連絡が来た場合、派遣先は感情的に反応せず、まず事実確認を優先します。終了理由が何であれ、派遣先側は業務継続の可否、後任要否、引継ぎに必要な期間を整理し、派遣元と合意形成する流れになります。

ここで重要なのは、派遣社員本人への先出し説明を避ける点です。派遣元の説明と派遣先の説明がズレると、納得感が下がりやすいからです。 

連絡を受けた直後にやること

最初に、終了の対象が「契約満了で更新しない」なのか、「期間途中の終了」なのかを確認します。次に、現場から見た業務の影響(引継ぎ、アクセス権限、取引先対応の有無)を洗い出し、派遣元へ必要事項として返します。併せて社内の窓口を固定し、「派遣社員への契約の話は派遣元から行う」ルールを周知します。現場の雑談で意図せず伝わることもあるため、言い回しの注意まで含めて共有しておくと安心です。 

合意形成から最終日までの進め方

派遣元との間では、最終日・引継ぎ方法・後任の受入可否を合意し、記録を残します。口頭だけで進めると、後から「言った/言わない」になりがちなので、メール等で要点を確定させるのが無難でしょう。業務引継ぎは、成果物・手順・未完了タスクを棚卸しし、派遣社員に負荷が集中しないよう段取りします。最終日は、貸与物回収・アカウント停止・情報持ち出し防止までをチェックし、静かにクローズさせるのが基本です。

【派遣先→派遣元】契約終了を申し出るプロセス

派遣先企業から契約終了を言い出すときは、最初に「契約期間満了で更新しない」のか、「期間途中の中途解除」なのかを切り分けます。ここを曖昧にすると、派遣元の手続きや派遣社員への説明が追いつかず、結果として不信感が強まりやすいです。

実務は、派遣元担当者への連絡→社内決裁→最終日と引継ぎの合意→証跡化、という順で進めます。派遣社員本人へ先に告げるのではなく、必ず派遣元を窓口にして調整する形が基本になります。 

満了で「更新しない」場合の進め方

満了で更新しないケースは、派遣元から更新確認が入るタイミングで「更新しない」意思を明確に返し、引継ぎ計画と最終日を固めていきます。注意したいのは、派遣社員側に雇止めの予告が必要となる場面があり、派遣元が派遣社員に説明するための準備期間が要る点です。自社は派遣元に対して、判断理由(業務量・体制変更など)を整理して伝え、現場には「契約の話は派遣元経由」と徹底すると揉めにくくなります。余裕を持った回答が、結果として引継ぎ品質にも効いてきます。 

途中で終える「中途解除」になりそうな場合の注意

中途解除は“やむを得ない事情”がない限り避けるべき対応で、派遣先都合で行う場合は特に慎重さが求められます。派遣先は派遣元の合意を得ることに加え、相当の猶予期間をもって解除を申し入れる必要があります。また、派遣労働者の新たな就業機会の確保(関連会社での就業あっせん等)が求められ、確保できないときは損害賠償(少なくとも30日分以上の賃金相当額など)が論点になります。社内都合で「早く切りたい」と焦るほどリスクが上がるため、まず人事が状況を握り、派遣元と協議して現実的な落とし所を探るのが得策です。

契約終了で揉めないための運用

派遣の契約終了は、法令の細部以前に「運用」で揉めます。典型は、現場が善意で本人に先に話してしまう、理由の言い方が評価や人格否定に聞こえる、派遣元への説明と社内説明が一致しない、といったパターンです。

これを避けるには、連絡窓口の一本化と、記録(メール・議事メモ)の徹底が効きます。あわせて、引継ぎと情報管理を“儀式”として標準化すると、最終日間際の混乱が減るはずです。慣れていない企業ほど、簡単なルールが強い支えになります。 

現場が言ってはいけない一言

「明日から来なくていい」「更新しないから次はない」などの断定は、派遣元の説明とズレるだけでなく、当人の不安を一気に高めます。現場が伝えるべきは、あくまで業務上の事実(引継ぎの予定、作業の優先順位など)に限り、契約や雇用に関する話題は派遣元へ回す運用が安全です。

伝達の型を作るなら、「契約の確認は派遣元担当からご案内があります。業務は◯日までにここまでお願いします」といった言い方に寄せると角が立ちにくいでしょう。迷ったら人事へエスカレーション、で統一するのが有効です。 

証跡を残す

派遣元との協議では、最終日、引継ぎ内容、中途解除に該当するかの認識、費用負担の可能性など、争点になり得る点を「文章で」そろえていきます。電話で合意しても、要点をメールで送り返して確定させれば、後から誤解が生まれにくいです。

中途解除の場合は特に、就業機会確保に向けた検討経緯や、派遣元からの依頼事項、対応可否の判断理由まで残しておくと、社内説明にも使えます。記録があると、感情論ではなく事実ベースで会話が進みやすくなるものです。

人事・労務の制度設計のご相談は

派遣の契約終了は「ケース対応」で終わらせると、次の現場で同じ混乱が起きます。更新判断の期限管理、窓口の一本化、現場へ共有する禁止事項、引継ぎと権限回収のチェック運用までを制度として整えると、トラブル予防の再現性が上がります。自社だけでルール化が難しい場合は、第三者の視点で運用設計を組み立てるのも一つの方法です。ビズアップの人事コンサルサービスでは、現状整理から制度・運用の整備まで、無料でお見積もり相談が可能です。

まとめ

派遣社員の契約終了は、「派遣元からの申し出」か「派遣先からの申し出」かで進め方が変わります。まずは満了か中途解除かを切り分け、窓口を一本化し、派遣元との合意を証跡で固めることが要点です。特に派遣先都合の中途解除は、猶予期間や就業機会確保、損害賠償の論点が絡むため、現場主導で急がない方が安全でしょう。運用を仕組みに落とし込めば、次回以降の対応も安定します。制度設計から整えたい場合は、ビズアップの人事コンサルサービスの無料お見積もり相談をご活用ください。


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の状況については、専門家にご相談ください。

お役立ち資料イメージ 経営者・人事部門のための

人事関連
お役立ち資料

資料内容

    制度設計を“経営インフラ”として機能させる仕組みと、組織力向上・人件費最適化を同時に実現するプロフェッショナルのアプローチを詳しくご紹介。「人事制度構築システム」「構築・運用コンサルティング」にご関心のある方は、ぜひご覧ください。